LA STUDIO

VOCALOID曲のオケを作る:ブラウザでMIDI伴奏を組み、WAVで渡す手順

ピアノロールとGM音源でコード・ベース・ドラムを作り、テンポとキーを確認してWAVで歌声制作側へ渡す手順。合成ソフトの条件は公式資料へ案内します。

VOCALOID曲の伴奏、いわゆるオケは、歌のないコード・ベース・ドラムなどを組み合わせた音声です。LA Studioではブラウザのピアノロールでノートを作り、GM音源で再生してWAVへ書き出せます。このガイドの完成物は、歌声を制作する環境へ渡す伴奏ファイルです。歌詞を入れるだけで曲全体を歌わせる操作や、既存の完成曲から声を取り除く手順とは別の作業です。

伴奏と歌声の作業を分けて準備する

まず歌のメロディ、伴奏のコード、曲のテンポと拍子を決めます。歌詞が途中でも、メロディ用の仮トラックと伴奏用トラックを分ければ制作を進められます。伴奏WAVには歌詞や歌唱指示は入りません。歌声制作側で必要なエディタ、歌声ライブラリ、入力形式は別途確認します。

製品の仕様・価格・対応環境はヤマハのVOCALOID公式サイト、クリプトン製品を使う場合はクリプトンのPiapro Studio公式案内を参照してください。この伴奏制作の手順によって、それらの製品が付属する、ブラウザでそのまま起動できる、同じ入力形式を使えるとはしていません。

新規プロジェクトでテンポとキーの基準を作る

  1. DAWエディタを開きます。前の作業がある場合は必要な保存・書き出しを済ませ、Projectsから新しいプロジェクトを作ります。
  2. トランスポートのBPM欄へテンポを入力し、確定します。拍子も合わせ、クリックを鳴らしてフレーズの入り方を確認します。
  3. 曲のキーとコード進行を手元の制作メモへ書きます。実際に入力するノートの音高を、そのメモと一致させます。
  4. 短い区間だけを作り、再生とWAV出力ができてから曲を伸ばします。音源を増やす前に、動く基準を作ります。

ここでいうキーの設定は、調に合うノートを選んで入力する作業です。エディタの一つのキー表示を変えれば、すべての伴奏や録音が自動で移調されるという案内ではありません。メロディを上げ下げした場合は、コードとベースも必要な分だけ移し、ドラムは打楽器の割り当てを変えないよう別に扱います。

テンポは打ち込みや歌声の作成前に決めておくと照合しやすくなります。途中で変えたらMIDIの入り、リージョンの長さ、すでに書き出した音声が現在のテンポと一致するか再確認します。録音済み音声にはAudio Stretchの確認が出る経路があるため、数値だけを変えて既存素材が正しく追従したと判断しないでください。

ピアノロールでコードを入力する

Piano Rollを開き、空なら + Add MIDI track & region で始めます。既存MIDIトラックには + Create MIDI region を使い、配置済みリージョンはダブルクリックして編集します。Drawでノートを置き、Selectで音高と位置を調整します。右端をドラッグすると長さを変えられます。MIDI snap stepを確認し、小節境界から意図せずずれていないかを見ます。

練習には既存の4小節のコード教材も使えます。これはC–Am–F–G、120 BPM、各小節3音、ベロシティ80の12ノートを含むLA Studio作成のCC0素材です。この曲順やテンポを完成曲の推奨値としているわけではありません。読み込んだノートをそのまま鳴らし、次に一つだけ音高や長さを変えて違いを聴く教材です。

コードを同時に鳴らす場合は開始位置を揃え、音を切り替えたいところまで長さを伸ばします。次のコードへ不要に重なると濁る場合があるので、境界を聴きながら調整します。細かな奏法を増やす前に、歌のメロディと一緒に鳴らしたときの響きを確認します。編集方法はMIDI打ち込みガイドで詳しく説明しています。

GM音源を選び、ベースとドラムを分ける

トラックを選び、DEVICESの音源欄からGMのピアノなどを選びます。InstrumentSelectorにもSoundFont (GM)のプログラム選択があります。現行の通常GM経路はGeneralUser_GSのSF2を使い、再生とオフライン出力に利用します。音源の初回読み込みが終わるまで待ち、同じノートで音が鳴ることを確認します。配布元の説明はGeneralUser GS公式ページへ。

ベースは別のMIDIトラックに置き、まずコードの根音とリズムのつながりを確認します。低い音を重ねすぎて歌が埋もれないか、短い音符が次の音へ意図せず残らないかを聴きます。音色を変えた直後はアタックと余韻も確認してください。同じノート長でも、音源によって聞こえる長さは変わります。

ドラムはGM Drum Kitを選んだ専用トラックへ入力します。GMのドラムはノートの高さがキックやスネアなどの種類に対応します。メロディのトラックをそのままドラムへ変更すると、音程が別の打楽器に置き換わります。逆にドラム用ノートをピアノで鳴らしても、リズム音源の確認にはなりません。

GeneralUser_GSの通常GM音源と、別途選択したサンプラープラグインを同じものとして扱わないでください。音源を変更したら、ライブ再生と書き出しの両方を確認します。特定の音が出ない場合は、ノートの存在、ベロシティ、ミュート、音量、音源の読み込み順に見直します。SF2と音源選択の詳しい説明はSoundFontガイドにあります。

仮メロディと合わせて歌の場所を空ける

歌の予定メロディを別のMIDIトラックへ入れ、分かりやすい音色で鳴らします。この仮トラックは歌の入り、休符、フレーズの終わりを確認するためのものです。歌声そのものを生成した結果ではありません。伴奏が同じ音域を埋めて聞き取りにくい場合は、伴奏の音量を下げる、音数を減らす、別の音域へ動かすといった順で確認します。

短い区間を繰り返し聴いた後は、曲のつながりも確認します。セクションの変わり目でベースが急に消える、前のコードが残る、ドラムが抜けるといった問題は、単一のループだけでは見逃します。最後の音の後に余韻を残し、歌が終わる前に伴奏が切れないようにします。

歌声制作へ渡すWAVを作る

  1. 仮メロディをミュートし、伴奏に含めるトラックだけを再生します。残っているソロやミュートを確認します。
  2. ExportでWAV、Full mixを選びます。初期値の44.1 kHz・24-bitは無料プランの出力範囲です。48/96 kHzと32-bit floatはPro条件があります。
  3. Normalizeの有無を確認して出力します。音量を調整する設定であり、歌声側とのラウドネス一致や配信基準への適合を保証しません。
  4. 書き出したファイルを別のプレーヤーで聴き、仮メロディが混入していないか、ベースとドラムが鳴るか、終わりが欠けないかを確認します。

書き出しに失敗した場合は、読めない音声素材や、オフライン出力に対応しないマスターデバイスのメッセージを確認します。マスターデバイスが原因ならバイパスなど、表示された対処をして再出力します。音源を選んだだけで、外部プラグインを含むすべての組み合わせが出力できるとは判断しません。

開始位置・テンポ・キーを添えて受け渡す

伴奏WAVと一緒に、テンポ、拍子、キー、歌い始めの位置、冒頭の無音を残したかを伝えます。WAVは音声なので、これらの制作上の約束を相手が自動で復元できるとは限りません。歌声制作側では使用製品の公式手順に従って伴奏を読み込み、対応する入力方法で歌のノートや歌詞を作ります。

生成した歌声をLA Studioへ戻す場合は別の音声トラックへ読み込み、伴奏と共通の開始位置に置きます。最初の歌詞と曲の後半の両方を聴き、一定のずれか、進むほどずれるのかを確認します。伴奏だけ、仮メロディ入りの確認用、歌声入り完成版を別名で残せば、次の修正で取り違えにくくなります。

プロジェクトのSaveは音声のExportとは別です。通常の保存にはログインと保存枠の条件があるため、ノートを後から直したい場合はプロジェクトの保存・復元手順も確認します。歌声が戻った後のバランス調整はボーカルミックスの手順へ進んでください。