ボーカルMIXの順序:音量、EQ、コンプ、空間
まずフェーダーで整え、EQとコンプレッサーの必要性を判断する実践手順。
ボーカルMIXは、エフェクトをたくさん挿す作業ではありません。言葉と伴奏の関係を整える作業です。最初は声と伴奏の2トラックで始め、問題を1つずつ直します。
最初はフェーダーだけで合わせる
声と伴奏を同じ開始位置に置き、伴奏を下げて声を聞き取りやすくします。小さい声だけ埋もれるのか、全体が小さいのかを区別します。全体の音量問題をEQの高域ブーストで補うと、サ行だけ強くなりがちです。
EQ:聞こえる問題を狙う
低い振動や不要な低域がある場合は、必要な声の太さまで消さない範囲で整理します。こもりが気になる場合は、中低域を少し下げて原音と比較します。数値は声・マイク・伴奏で変わります。特定の周波数をすべての録音で必ず削る設定はありません。
コンプレッサー:大きさの差を整える
スレッショルドを下げると、より多くの音が圧縮対象になります。レシオは圧縮の強さ、アタックとリリースは効き始めと戻りの時間です。まず弱めの圧縮で、語尾が聞き取りやすくなるか確認します。息が急に大きくなる、音量が揺れる場合はかけすぎを疑います。
リバーブ・ディレイ
声を単独で聴いて気持ちよい量でも、伴奏に戻すと歌詞がぼやけることがあります。少量から足し、語尾の間が埋まりすぎないか聴きます。120 BPMの4分音符は500 msなので、ディレイの出発点にできます。音楽に合うかは実際に聴いて判断します。
比較と書き出し
エフェクトを外した状態と、再生音量を合わせて比較します。処理後のほうが大きいだけなら効果を判断できません。声と伴奏の音量を整えたら、書き出しを別プレイヤーで再生し、冒頭、サビ、最後の余韻を確認してください。
エフェクトを増やす前に
適切な音量でも歌声が伴奏とぶつかる場合は、EQを増やす前にピッチエディターでキーとノートの検出を確認します。テンポに合わせたディレイには、120 BPMの拍を数える例で四分音符の長さを確かめてから、自分の曲のテンポを確認してください。音程編集とミックス処理を別々に判断できるよう、原音を残します。
ミックスダウン:最終ミックスを音声に書き出す
ミックスダウン、またはバウンスは、鳴らすトラックをまとめて試聴・受け渡し用の音声にする作業です。EQの操作を先に確認したい場合は、周波数・ゲイン・Qと5バンドEQのガイドを参照してください。このページでは各パートを整えた後の手順を扱います。
- 録音またはノート入りのMIDIリージョンを用意し、使う音源が読み込まれているか確認します。空の曲ではExportは使えません。
- 原音の二重再生、不要なソロとミュートを確認します。冒頭、曲の最も密な部分、最終音の後を試聴します。
- ExportでWAVとFull mixを選びます。Separate tracksはパート別のZIPなので、完成ミックスの単一ファイルとは用途が異なります。
- サンプルレート、ビット深度、Normalizeを確認して実行します。保存したファイルを別のプレーヤーで開き、同じ区間を聴き直します。
WAVのUI初期値は44.1 kHz・24-bitです。選択肢は44.1/48/96 kHz、16/24-bit PCMと32-bit floatで、無料プランは44.1 kHz・最大24-bit、48/96 kHzまたは32-bit floatを選ぶHQ出力にはPro条件があります。これは実装の設定値で、サンプルレートを上げたときの音質改善を実測した数値ではありません。このWAV出力はブラウザのレンダリング経路で、別機能の有料クラウド・リファレンスマッチングとは異なります。
音声出力には最終リージョン後の余韻用として実装上2秒が追加されますが、長い残響が収まるかはファイルで確認します。Normalizeは配信先のLUFSへ揃える機能ではなく、マスターに有効なビルトインLimiterがある場合はこの後段の正規化を省く実装です。小さく聞こえる原因を調べずに繰り返し出力しないでください。
読めない音声素材やオフライン出力非対応のマスターデバイスは、出力エラーの原因になります。表示された原因を解消し、必要ならデバイスをバイパスするかライブ出力を録音する経路を確認します。元プロジェクトも保存し、細かな出力確認は書き出しガイドで続けてください。