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Audio to MIDIで音声をMIDI変換する方法【無料・自動採譜】

Audio to MIDIとは?音声をMIDIに変換できる理由

「Audio to MIDI」で検索しているあなたが知りたいのは、おそらく「録音した音声やMP3からMIDIデータを取り出し、DAWで編集したい」ということではないでしょうか。この記事では、Audio to MIDIの仕組み・無料で使えるツール・具体的な操作手順をすべて網羅して解説します。読み終わる頃には、スマホで鼻歌を録音してピアノロールに落とし込むまでの流れが完全に理解できます。

Audio to MIDIとは、ギターやピアノの演奏音・ボーカルのメロディ・鼻歌などのオーディオ信号を解析し、音高(ピッチ)とタイミングを検出してMIDIノートデータに変換する技術です。従来は専用ハードウェアやプロ向けソフトが必要でしたが、近年はAIと機械学習の進化により、ブラウザ上で完全無料・インストール不要で使えるツールが登場しています。

ピアノとDAWでMIDI編集している様子

Audio to MIDIが役立つシーン

どんな場面でこの技術が活躍するのか、具体的に見てみましょう。

  • メロディの採譜:楽譜がない曲のメロディラインを耳コピせずに自動でMIDI化できる
  • 鼻歌・ハミングからの作曲:思いついたメロディをスマホで録音し、そのままDAWに取り込める
  • ギター・ピアノ演奏のMIDI化:弾いた演奏をMIDIに変換してソフトシンセで鳴らし直したり、別の楽器音色に差し替えたりできる
  • 楽曲分析・音楽理論学習:既存曲のメロディをMIDIで書き出し、スケールやコードを視覚的に確認する
  • DTM初心者の打ち込み補助:ピアノロールへの入力が苦手な人でも、演奏を録音するだけでMIDIトラックを作れる

Basic Pitchとは?Spotifyが開発した高精度AI変換エンジン

Audio to MIDIツールの中で特に注目されているのが、Spotify の研究部門 Spotify Research が開発したオープンソースAI「Basic Pitchです。2022年に公開され、以下の特徴で多くのDTMerから支持されています。

  • 単音だけでなく和音(ポリフォニー)にも対応:ピアノ演奏やギターコードも正確に変換できる
  • ピッチベンド情報も検出:ギターのチョーキングやビブラートもMIDIピッチベンドとして記録される
  • 軽量なニューラルネットワークモデルを採用しているため、ブラウザ上でもリアルタイムに近い速度で処理可能
  • MITライセンスのオープンソースなので商用利用も可能

Basic Pitch の変換精度は学術論文でも実証されており、単音メロディであればノート正解率90%以上を達成しています(Bitteur et al., 2022)。複数音が重なる楽器音でも従来ツールより大幅に精度が向上しています。

Audio to MIDI変換ツール比較

主要なAudio to MIDIツールを比較します。選ぶ際の参考にしてください。

① Basic Pitch(ブラウザ版・完全無料)

  • 価格:完全無料
  • インストール:不要(ブラウザのみ)
  • 対応フォーマット:MP3, WAV, OGG, FLAC, M4A
  • 精度:単音◎ / 和音○
  • ピッチベンド対応:あり
  • 特徴:Spotifyが開発した研究ベースのAI。オープンソースで透明性が高い

② Melodyne(有料・業界標準)

  • 価格:Essentialで約9,900円〜、Studioで約60,000円
  • インストール:必要(Windows / Mac)
  • 精度:単音◎ / 和音◎(DNA機能)
  • 特徴:業界最高峰の精度。DAWプラグインとしても動作。ただし価格が高い

③ AnyTune / Transcribe!(有料・PC向け)

  • 価格:各3,000〜8,000円程度
  • 特徴:速度変更・ループ再生と組み合わせて耳コピを補助する用途に特化。MIDI変換機能は限定的

④ LA Studio Audio to MIDI(ブラウザ・無料)

  • 価格:完全無料
  • インストール:不要
  • 特徴:Basic Pitchエンジンをブラウザ内ONNX推論で動作させ、変換結果をそのままDAWのピアノロールにMIDIリージョンとして読み込める。書き出し→インポートの手間がゼロ
DAWのピアノロール画面でMIDIを編集している

【実際の手順】LA StudioでAudio to MIDIを使う方法

ここでは、インストール不要でその場からすぐ試せるLA Studioを使った具体的な手順を解説します。音声ファイルをアップロードするだけでMIDIリージョンが生成され、そのままピアノロールで編集まで完結します。

ステップ1:エディタを開く

  1. ブラウザで https://la-studio.cc/editor にアクセスする(アカウント登録不要)
  2. エディタ画面が表示されることを確認する

ステップ2:音声ファイルをインポートする

  1. 画面上部メニューの「File」→「Import Audio」を選択するか、オーディオファイルをドラッグ&ドロップでトラックに追加する
  2. 対応形式はMP3, WAV, OGG, FLAC, M4A。ファイルサイズの上限はブラウザのメモリに依存するが、一般的な楽曲(3〜5分)であれば問題なし

ステップ3:Audio to MIDI変換を実行する

  1. インポートしたオーディオリージョンを右クリックする
  2. コンテキストメニューから「Audio to MIDI」を選択する
  3. 変換オプションが表示されたら、必要に応じて「ピッチベンドを含める」「最低音量閾値」を調整する
  4. 「変換開始」ボタンをクリックする
  5. ブラウザ内のONNXエンジンでBasic Pitchモデルが動作し、数秒〜30秒程度で処理が完了する(ファイル長さによる)

ステップ4:生成されたMIDIを編集する

  1. 変換完了後、自動的にMIDIリージョンが新しいトラックに追加される
  2. MIDIリージョンをダブルクリックしてピアノロールを開く
  3. 誤検出されたノートを削除・調整する(単音メロディであれば修正箇所は最小限)
  4. 音符の長さ・ベロシティを調整して完成

ステップ5:MIDIファイルとして書き出す

  1. メニューの「File」→「Export MIDI」を選択する
  2. .mid形式でダウンロードされるので、Cubase, Logic Pro, Ableton Liveなど任意のDAWにインポートして使える

Basic PitchのWeb版を直接使う方法(LA Studio以外)

Spotifyが公開している Basic Pitch 公式Webサイト でも同様のことが可能です。

  1. https://basicpitch.spotify.com/ にアクセスする
  2. 「Upload Audio File」ボタンをクリックしてファイルを選択する(ドラッグ&ドロップも可)
  3. 「Convert to MIDI」をクリックして変換を待つ
  4. 「Download MIDI」からMIDIファイルをダウンロードする

ただしこの方法だと、MIDIファイルをDAWに手動インポートする作業が別途必要です。LA Studioを使えばエディタ内で完結するため、DAWを持っていない初心者にも特におすすめです。

変換精度を上げるための5つのコツ

Audio to MIDIの変換精度は、入力音声の質に大きく左右されます。以下のポイントを押さえるだけで精度が劇的に改善します。

① 単音に近い音声を使う

ボーカルのメロディラインや単音のギターフレーズなど、音が重なっていない状態が最も高精度。フルミックスの楽曲をそのまま変換すると、ドラム・ベース・ギターすべてのピッチが混在して精度が下がります。

② ステム分離と組み合わせる

フルミックス音源からメロディだけを変換したい場合は、先にステム分離でボーカルやメロディ楽器を切り出してからAudio to MIDIにかけると精度が大幅に向上します。

③ ノイズを除去してから変換する

録音環境のホワイトノイズや環境音が混入していると、無音部分にも誤検出ノートが生まれます。変換前にAIノイズ除去で前処理しておくのが有効です。

④ 音量閾値(Threshold)を適切に設定する

変換オプションの「最低音量閾値」を上げると、小さなノイズによる誤ノートが減ります。逆に小さな音符を拾いたい場合は閾値を下げます。演奏の強弱に合わせて調整してみてください。

⑤ テンポに合わせてクオンタイズをかける

変換直後のMIDIはタイミングが人間の演奏に忠実なため、グリッドにぴったり合っていないことがあります。DAWのクオンタイズ機能(通常は1/8〜1/16音符)をかけることで、整ったMIDIに仕上がります。

ヘッドフォンをしながら音楽制作をしているミュージシャン

Voice to MIDIとAudio to MIDIの違い

似た機能として「Voice to MIDI」があります。両者の違いを整理します。

  • Audio to MIDI:既存の音声ファイル(MP3, WAVなど)をアップロードしてMIDIに変換。事後処理向き
  • Voice to MIDI:マイクに向かってリアルタイムで歌い・ハミングしながら、その場でMIDIノートを記録するツール。リアルタイム入力向き

LA Studioではどちらの機能も搭載しています。「録音済みの音声を変換したい」ならAudio to MIDI、「今すぐ歌いながら打ち込みたい」ならVoice to MIDIを使い分けてください。

Audio to MIDIで変換できないケース・限界

Audio to MIDIは万能ではありません。以下のケースでは精度が大きく落ちるか、変換自体が困難です。

  • ドラム・打楽器:ピッチ情報がないためMIDI化できない(ドラムにはドラムトランスクリプション専用ツールが必要)
  • フルオーケストラや複数楽器が重なった音源:分離精度の限界を超えるため、誤ノートが多発する
  • 極端にリバーブやエフェクトがかかった音:ピッチ検出の精度が落ちる
  • 非常に速いパッセージ(BPM200以上の16分音符連打など):短い音符の境界線を正確に検出できないことがある

よくある質問

Q. Audio to MIDIは完全に無料で使えますか?

A. Basic Pitchの公式Webサービス(basicpitch.spotify.com)は完全無料です。LA StudioのAudio to MIDI機能もアカウント登録不要・完全無料で利用できます。Melodyneなど業界向けプロツールは有料ですが、日常的なメロディ採譜・鼻歌のMIDI化であれば無料ツールで十分な精度が得られます。

Q. スマホのマイクで録音した鼻歌でも変換できますか?

A. はい、対応しています。ただし精度を高めるために、静かな環境で録音し、変換前にノイズ除去ツールで前処理することをおすすめします。録音形式はM4A(スマホのデフォルト)でも問題なくアップロードできます。

Q. 変換したMIDIはCubaseやLogic Proで使えますか?

A. はい、標準のSMF(Standard MIDI File)形式(.mid)で書き出されるため、Cubase、Logic Pro、Ableton Live、FL Studio、GarageBandなどほぼすべてのDAWにインポートできます。LA Studioから直接MIDIファイルをエクスポートする場合は「File → Export MIDI」から行えます。

Q. 和音の入ったピアノ演奏もMIDIに変換できますか?

A. Basic Pitchはポリフォニー(和音)検出に対応しているため、ピアノのコード弾きもある程度MIDIに変換できます。ただし、音が多く重なるほど誤検出も増えるため、変換後にピアノロールで手動修正を行うことを前提にすると良いでしょう。業務レベルのポリフォニック変換が必要な場合はMelodyneのDNA機能が業界標準です。

Q. PyThon版Basic Pitchをローカルで動かす方法はありますか?

A. Basic PitchはMITライセンスのオープンソースで、GitHub(spotify/basic-pitch)からインストールできます。pip install basic-pitchでインストール後、basic-pitch output_dir audio_file.mp3のコマンド一発でMIDIファイルが生成されます。大量ファイルをバッチ処理したい場合や、クラウド環境で自動化したい場合に便利です。

まとめ:Audio to MIDIは今すぐ無料で始められる

Audio to MIDIは、かつては高額ソフトが必要だったメロディ採譜を、誰でも無料・インストール不要で実現できる技術です。Spotifyが開発したBasic Pitchエンジンの登場により、その精度は実用レベルに達しています。

  • 手軽に試したい → Basic Pitch 公式Web版
  • 変換からDAW編集まで一気に完結させたい → LA Studio(ブラウザ内でMIDIリージョンとして直接編集可能)
  • 業務・プロ品質が必要 → Melodyne Studio

まずは手持ちの音声ファイルやスマホで録音した鼻歌で試してみてください。変換結果を見ながら「こういう音程だったんだ」と気づく体験は、耳コピ上達にもつながります。

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